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海エルフ(Sea Elf)小論 

(海エルフについては、これに加筆したような記事を書きましたのでそちらもご参照下さい)
  → 海エルフ(Sea Elf)概論


 海エルフについて検索して覗かれた方がいたようです。そういえばそんなの書いたなぁ。あれを放置するのもどうかと思いましたので(一方昔の書きかけ原稿を完成させる気力がない関係で)差し当たり短く、私が現在持っている総論・結論を書いておきます。
1.様々な海エルフ

 この「水のエルフ」という概念は、大別して二つ、よりには三種ほどに異なった形でいくつかのRPGに見られる。


 第一種はD&Dから生まれた「アクアティックエルフ」である。すなわち水中に適応した形のエルフ。手に水かきがあり、海草で衣服を作り、水中呼吸する(えら呼吸と見なされることが多いようだ)。陸では通常干からびるようだ。

 TRPGではD&Dの諸背景世界やファイティングファンタジーの「タイタン」、ファンタズムアドベンチャーなどに見られる。これはいわば「『指輪物語』的D&D世界観」の再生産の産物であり、D&Dのクローン的意味での「古典的ファンタジー」世界に登場することがある。


 第二種は第一種の亜種とも言える。植物に結びつけられた形のエルフ像における、「水中植物のエルフ」である。このエルフ像は、生態系レベルで「本質的に植物と結びついている」のが特徴と言える。映像的には第一種のものに植物的ガジェット(この場合海草のような)を付け加えてやればよい。

 森とエルフを近縁に捉えるイメージ(ロスロリエンのイメージ)が『指輪』以来一般化したようだが、これをより推し進めて、エルフは半ば樹木そのものであるとした「グローランサ」世界の産物がこれである。これも再生産が日本の「ルナル」に見られる(ルナルのエルファが植物そのものであるわけではないが)。


 第三種は、トールキンの世界に登場する「海を行く者」「海に臨む者」としてのエルフを再生産したものである。海の彼方、あるいは水底にある理想郷というケルト的発想から生まれた、彼岸と俗地を往来する者としてイメージが原形と言えるだろう。往来するとは限らず、人間の土地に残りながら海辺で暮らすエルフも含まれる。

 そのものずばり「指輪物語ロールプレイング」や、「ウォーハンマー」におけるシーエルフ、また我が国の「ローズ・トゥ・ロード」で言及されるアウル・アエンダ(「海の妖精族」)などが例に挙げられる。



2.その初出

 RPGにおける海エルフはD&Dの第二サプリ『BLACKMOOR』が初出。名前は「アクアティックエルフ」である。なお「シーエルフとも呼ばれる」とも既に書かれている(というか、D&Dのモンスターマニュアルでは以降、v3.5に至るまで一貫して「分類名:『アクアティックエルフ』、本文冒頭:『シーエルフとも呼ばれている』」という記述になっている)。


 なお、正確にはD&Dが出る頃から『BLACKMOOR』が世に出るまでの間、つまり1974年から1975年の9月辺りまでの間に行われた、当時のコンベンションが初披露の舞台だったであろう。

 ちなみに、『BLACKMOOR』は第二サプリであって、水場・海洋という舞台(だけではないが)を扱っているのがこれであるが、第一サプリの『GREYHAWK』が出された頃には既に水界セッティングという発想自体は誕生していたようである。このため『GREYHAWK』以後、とはしていない(流石に「Chainmail」時代にあったとは思われない)。

 この他、「著者が思いつきと勢いだけで書き加えたので『BLACKMOOR』が名実ともに初出」という可能性も考えられる。「水界サプリだしな」という勢いは如何にもありそうであるし、この可能性も十分ありえよう。



3.誕生の由縁

 その出現の由縁は、「人間には「マーマン Merman」がいるんだから、エルフにも水中種族がいるだろう。名前は「水のエルフ」でいいや」という思いつきレベルのものと思われる。


 水中のエルフ、というようなものの先行イメージとしてはアイルランド神話における「海のシー Sidh」があるが(これも、水中に異界があるだけで、水棲生物だったわけではないだろうw。他には水のニンフなどがイメージソースとなりうるが、ニンフは現代ファンタジーではエルフよりむしろ、精霊の類に捉えられている)、特にこれをイメージソースとしていたとは考えにくい。

 一方トールキンの海エルフがこれをイメージソースとしていたことは間違いないと思われるが、トールキンの海エルフ像がD&Dのアクアティックエルフに影響した可能性はほぼない(イメージが違いすぎる以前に、D&D刊行以前にトールキンの「海エルフ」分類を解説できる本は出ていなかった)。

 とは言え、『ホビット』に言及される「海のエルフ」が字面を貸した可能性はある(ここで「海のエルフ」は名前だけしか言及されておらず、具体的情報は存在しなかった)。



4.その後の流れ

 さて、海エルフという概念の流れを整理しよう。


 RPGを創始したD&Dが、その早期からこの概念を生み出していた。そしてまた、初期のこの創造以降にD&Dで使われている諸背景世界が整備されたということもあって、D&Dに関わるワールドデザイナー達はその世界にアクアティックエルフの居場所を用意してきたのであった。

 現在世界で最も広まっているRPGがD&Dであるという理由によって、世界の多くのプレイ環境にワールドセッティング上は海エルフがいるのだと想定することも可能である(第一種)。


 また、そのD&DがRPGというエポックの基点であるために、例えその発想の起点がD&Dと全く別個に生まれていたとしても、ほぼあらゆるRPGはD&Dの影響を、多かれ少なかれ受けることとなる。

 そのため、D&Dクローン的な傾向が高い世界、また生態系・生物の多様さ詳細さを志向した世界設定の中に海エルフが取り込まれている。その設定をほぼ踏襲したRPGもあれば(第一種)、オリジナリティを付加したものもあった(第二種)。


 この他、現代ファンタジーの古典、トールキンの生み出したイメージを原D&Dよりも直接的に倣おうとする流れも存在した。この中から、特定文化・地域に属するエルフに「海のエルフ」、という名を与えるRPGが生まれることとなった(第三種)。



5.終わりに

 様々に書いては来たが、この概念はやはり「マイナーなまま現在まで来ている」と言えるだろう。その理由として、「水界セッティング自体が例外的・特殊なものであり」、海エルフという「その頻度の低い特殊設定をさらに分化・深化する」設定に需要がない、ということを挙げておく。
 


・付記1
 「エルフと森を結びつけるイメージ」は必ずしも『ホビット』の闇の森や『指輪』のロスロリエンで「創造」されたわけでなく、近世頃に、エルフのような異教的半神の居場所が森にしかいなくなったという事情もあることは認められるでしょう。

・付記2
 さらについでですが、ウォーハンマーにおけるエルフ本国ウルサーンは、とてもではないが、別段現代人がイメージする「理想郷」とは言えないでしょうねw。まあ、ウォーハンマーだし当たり前かw。

・付記3
 ローズにはアウル・アエンダの他に水妖(ウンディーネ)もいます。ここで言う「海エルフ」概念とはむしろ離れたものだと思うので言及しませんでしたが。
 妖精族が古代以来の力を維持することができず、四大属性に従って分化したという設定(といっても、いわゆる元素精霊のようなものではありません)。ニンフ的な、自然と結びついた形での「印欧的半神」の一側面を、北方のアールヴやシーのイメージに再統合させた、とてもよい設定だと思います。

・付記4
 初期D&Dの水界セッティングに関しては、『GREYHAWK』にトリトンについて記述があって、「容貌においてマーマン(Merman)に類似する。トリトンはあらゆる面でより強力であり……」とかあるんだよね。でもマーマンについては書いていないというw。
 それまでには、水界っぽい生物はリザードマンがいるくらいです。多分、どっかのセッションで名前だけ人魚とかマーマンとかが出たとかそんな話だと想像されます。

・付記5
 実際の初出については、ガイギャックス氏辺りに直接メールを送ってみるしか確認する手は無いんだよね結局w。誰か尋ねてみてくれませんw?
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laevaと名乗っていましたが、呼ばれる際に恥ずかしいという問題が発覚して以来、にるば(nirva)と名乗ってます。RPG、ボードゲームなどが趣味。
 
 コメントへの返信が大体遅れておりまして失礼しておりますが、おそらく質問等は、twitterの方でしていただいた方が短時間で認知できる確実性が高いかと思います(右カラム参照)。

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