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[800字コラム] ドストエフスキー『賭博者』 

 本書のタイトルはその本質を一言で書き切っている。一見2つある題材――ルーレットと恋。だがこれは「賭博」の名の下に一つなのだ。

 アストレイが客観、ポリーナが愛(恋/賭博でなく)を割り振られている他は、主要人物は皆何かに賭けている。大敗あるいは火傷し、また上手くゲームを泳ぐ。主人公アレクセイは前半、ただ無防備な己をポリーナに投げ出し続けたが、これも己を質にポリーナの心に張るという賭博に他ならない。

 その賭けは常に失敗し――神の目で見れば、失敗に見える形で保留され続けた。だが父の賭けの敗北を見届け、保留する必要を失った彼女は遂に己をアレクセイに差し出す……この出来事は「未熟な若者に傷心の誇り高き女性は受け止め得なかった」とも語り得よう。だが敢えて、この愛が失敗したのは彼の「物狂おしい想念」が必然として愛を上回り、彼女が「二義的な位置に押しやられた」ためと言おう。この想念とは言うまでもなく、内なる「賭博者」である。

 恋/賭博しかできない彼は、当初ポリーナの愛を全く認識できなかったが、彼女の必死の吐露に遂に、「愛が転がり込んできた」ことを明確に理解する。彼が愛を一義とし愛に突き動かされていたならば、この愛を掴んだろう。だが理解の瞬間、彼を動かしたのは愛ならず賭博であった。「賭博者」が張ることなしに賞品を手にするなどあり得ない。

 主人公は転がり込んだ愛を顧みず、やはり賭博により愛を獲得しようとした。かくて彼は転がり込んだ幸運のままに行為の賭博には勝利し、だが、まさに賭博を使ったが故に愛を手放すことになる。愛は賭博の賞品/商品であることを拒んだのだ。

 終章、アストレイに真実を告げられて流れた彼の涙は、ポリーナが己を捨てたが故に二人が分かたれたわけでなく、自身が愛を棄てた故に今に至ったのだ、という真実を理解したがためであった。物語の始めから終わりまで賭博者であった男、それがアレクセイだったのである。



 800字コラムの第1回。ネタはドストエーフスキィの『賭博者』です。7月の第2週だったかな。締め切り当日の夕方に、全然書けてないんでとりあえずネットのつながってない所に行くかと思って、何故か北千住の「かつや」でカツ丼を食べながらノーパを打っていたのを憶えています(まあここに載せるに当たって、やはり少し手は加えてますが――残念な出来を少しは取り繕えてるかな)。

 実はドストさんの作品を読んだのはこれが初めてでした。基本的に、所謂ブンガク一般に向けた関心はあんま高くなかったんですよね、これまでの人生で。読んでる本が文学に分類されるというのは普通にあったかとは思いますけれど。

 読んでる版が自分だけ違っていて(旧文庫版)、名詞――アストレイは新版ではアストリーらしい――が自分だけ違ったり、本編からの引用の効果がそれと分かられなかったのは面白かったですね。


 内容は……まあ、主人公のアレクセイは別に「最初の頃は愛だの云々言ってて婆さん他の賭博者に対して一歩身を置いた空気を醸し出してたけど、途中でいきなりルーレットにはまって麻薬中毒者ばりに破滅していったんだよ」というわけではなくて、徹頭徹尾タイトルの通り賭博者だったんだよ、というような内容。

 文中では所謂「真の愛」的なものを特に「愛」、そうでない普通に見られる恋愛的なものを特に「恋」と表現してまして、その上で、恋を賭博の下位に組み込んでるんですが、分かりにくいかなぁ。
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