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ビブロス 

 ビブロス(ビュブロス、byblos)というのはかの「パピルス紙」のパピルス(papyrus)の別語であり、アリストテレスの弟子で植物学の祖と呼ばれる前4世紀のテオフラトゥスなどは、元の植物が食材として使われる時の呼び名としてパピルス、非食材の用途においてビブロスという語を使っている。といっても、ギリシアで植物パピルスが一般的であったわけもまったくなく、専門家ならぬ一般ギリシア人には関心のない使い分けであった。

 さてパピルスで作られた紙や、それによって作られた本――形状は巻き物――は地中海の東・南岸に勢力を誇ったフェニキア人の中継によってギリシア諸ポリスに輸入されていた。補給の問題(特に、ガレー船であるし)や心理的な要素もあって当時の航海は陸伝いであり、地中海を突っ切るなど不可能事、この文化伝達・商業の仲介者の存在は必然であった。そのパピルス貿易の拠点となったフェニキア都市の名はグブル(エジプトのアマルナ文書に楔形文字でgubl-uとある)といった。


 ギリシア人はこのグブルをビブロスと呼んだが、「gbl」が「bbl」へと変化を起こしたのだろうと考えられている。古アカイアのミケーネ方言における[u]音を指向する g、つまり[gw]は後の所謂古典ギリシア語において b に変化するという。また、乱暴な言い方だが、ギリシア文字において[u]は y(Υ)で表される。というか、真っ当に[u]を表す文字自体残らず、ギリシア語においては[i]音に引き寄せられがちで、古典時代には普通に[y]音になっている。そして名詞主格の語尾 -os が付き、Gubl-u → Bybl-u →Bybl-os/Bibl-os となったという流れだろうか。


 さて、このグブルは、前3000年頃には既に、エジプトの船団がレバノン杉を求めて訪れるような広域市場拠点となっているような大変古い都市であった。アルファベットの直接の祖、フェニキア文字が生まれた街ともされている。前1200年頃のことらしい。パピルスは、このシリア西岸辺りでも栽培されるようになっていたほどで、グブルはパピルス紙産業の一大市場であった。

 ギリシア人は彼らフェニキアの人々から文字を教わり、書物を教わったわけで、その文字文化に対する影響力は多大なものがあっただろう。そんなわけで、ギリシア人はこのビブロスから輸入されてくるものである紙の本(巻き物)という物体を「ビブロスもの」―― biblion と呼び、またビブロスという言葉それ自体も草や紙、紙的諸製品を指すようになっていったのであった。



 というような話はただの衒学かというと必ずしもそうではなくて、昨日研究室やらブックオフやらから大量の biblia を家に運搬して大変疲れたわけだが、わざわざ町田まで行って買ってきた「ビブロスもの」――ロックの単行本を見て何か物悲しくなって、何かビブロスという単語が記憶に残るようなことを書きたくなったのである。しかしあれ、『聖者の涙」の一巻ってこれだけでこんなまとまってたっけ。記憶が乏しいなー。

 さておき町田くんだりまでわざわざ行ってきたのは、そこに『マルチバース』があると聞いたからなわけだが、これから解読してみたいと思う。パラ読みしながら、見通しの悪さにワクワクしてきた。
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