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蜂起するゴブリン種族 

シリーズ「エベロン・アンダー・ザ・グラス
原文「Goblin Uprising
原著:ショーン・K・レイノルズ
訳文文責:laeva




 失われたアーティファクトの探索であろうと、古文書からの知識の発掘であろうと、はたまたゴブリンの蜂起への対処であろうと、エベロンではエベロンなりにいくぶん違った形を取るのです。本シリーズは、エベロンで遊ぶプレイヤーやDMの皆さんが、この世界について「らしさ」の感覚を得るための手助けとなるでしょう。

 今回の記事では、ゴブリン種族の攻勢の高まりがエベロン世界においてどのように異なった動きをするのか、について見ていきたいと思います。
1.栄光ある過去


 標準的なキャンペーン世界において、ゴブリン種は「文明地域の外縁部でかろうじて糊口をしのぎ、たまに辺境の農場を略奪するのに足る程度の部族戦士を駆り集めてくる未開種族」というような位置づけになっています。武装も概して人間やその友朋諸種族の携えるものに劣っていますし(中でも勇猛なホブゴブリン達ならば、優秀な武具を備えている場合も多いですが)、先述の散発的な襲撃を除いては彼らが文明社会に与える影響というのは取るに足らないものでしかありません。

 これに対し、エベロンにおけるゴブリン種にはかつて強大なダカーン帝国を築き上げ、西方コーヴェアのほとんどを支配した過去があります。最終的に帝国も没落を迎えたわけですが、エベロンの全ゴブリン種諸部族にとり、またとりわけ(低地の同族たるガールダー部族のように未開状態に退行することなく)文明の残滓を固持してきたダカーン部族にとって、この歴史的事実は二つの重大な意味を持つのです。

 ほとんどのキャンペーン世界におけるゴブリン種と異なり、ダカーン部族のゴブリン種達はドゥール・カラ(「哀悼歌人」ほどの意、彼らがバードを指して言う呼称)が、彼ら民族の古き帝国の物語を語るのを聞きながら育ちます。そう、ヒューマンとエルフ、そしてドワーフがコーヴェアに覇権を打ち立てる以前の、強大な帝国の物語を。この魂に訴える物語は、ダカーン部族の指導者達が部族の間に復讐の炎を沸き立たせる燃料となっています。他の世界のゴブリン類が、食料・財貨の強奪のために略奪行をする一方、ダカーンのゴブリン種は「失われし帝国のために!」といった叫びを鬨の声にして戦場に進軍してゆくのです。飢えや貪欲ではなく熱狂がより強い動機を与えるのであり、そして熱狂によってこそ、ただの一兵卒がまばたきもせず、避け難き死に正対できるようになるのです。

 滅びた文明はどれもそうですが、ダカーン帝国にも驚異と進んだ技術とがおおいに存在しました。中には現代のエベロンの基準からすれば原始的と思えるようなものもあるにしても、エベロン・ドラゴンシャード(あるいはカイバー・シャード)を利用している古代の品物は今も古代ゴブリン都市に埋没し、奸智に長けた軍事指導者に掘り起こされるのを待っているのです。デルキール戦争のことを考えると、滅びたゴブリン帝国にはおそらく(デルキールの手先であった、ドルガントやドルグリムのような)異形のものどもを退けるための武器や、精神攻撃から兵士を守るための防具があるはずです。



2.永遠の最下層


 エベロンはまた、下層階級のゴブリン奴隷がほとんどの都市に一定数存在していることでも特異的です。ゴブリン種族が「遠く離れて」暮らしている生き物である普通のキャンペーン世界と違い、エベロン世界では彼らは文字通り足下にいるのです。自分たちの庭園を手入れし動物を育て、家屋を造り宝石を採掘してきてくれるゴブリン達のことを、これら都市民は無視し、あるいは忘れてしまってすらいるかもしれません。ですが、彼らの方では特権的な雇い主達に対する憤りを分かち合っているに違いないのです。これらゴブリン労働者達がカリスマ的指導者の手の内に落ちれば、殺人的集団に転じることもありえます。園芸道具や大工の金槌、つるはしなどであっても、気付いていない相手に振るわれたならば戦のための武器と全く同等に命を奪うことができますし、また都市中心部にいる一人のゴブリン反徒というのは、群れ集う侵略者よりも危険なものです。敵が市門を突破の必要もなしに、既に内部にいるということなのですから。

 あるいは自暴自棄になったゴブリン奴隷が、ゲリラ的手法での逆襲に走ることもあるでしょう。例えばゴブリンが菜園果樹園を汚して回り、ゴブリンでなければとてもそこの食べ物を食べないだろうよう仕向ければ、ゴブリン達が肥え太っている間に都市住民が飢えに困ります。ゴブリンの大工や坑夫が働こうとしなければ、建物は建築中のまま放置され、船舶は修理されないまま航海することになり、商売や防衛に影響します。ゴブリンが立ち上がったといっても別に流血や脅威がないといけないわけではありません。このような「おとなしい」形の抵抗は、モンスターの群れを殺戮すれば解決するなんてこともなく、その上反抗の裏側にある、彼らの自己認識と動機に根差した厄介な問題は残り続けるのですから、ことさらに指導者達を煩らわせるのです。



3.新たなる国家


 そして典型的D&Dキャンペーン世界とエベロンキャンペーン世界を分かつ最大の違いが、エベロンのゴブリン種族には、周辺国から主権国家と認められた故国があるという点です。ブレランドから来た冒険者が、「ちょっとダーグーンに入り込んで見かけたゴブリン種を片っ端から殺して回る」などということをしてはならないわけです――そのようなことをするのはテロ行為に(侵入した集団の規模によっては、戦争行為に)当たります。ラカーン・ドラールから北進する武装したホブゴブリンの一団を見かけたならば、それは騒ぎを起こそうとしているギャングどもではなく、契約に応じている傭兵隊かもしれません。そして仮にその後、この一団が隊商を襲ったとしましょう。これはただの無分別の結果でしょうか?それとも犯罪者が雇って指図しているのか?はたまた、戦争を始めようとしてリーシュ・ハルークが故意にやらせたのでしょうか?都市ゴブリンの反乱シナリオと同様に、事態に直接的責任がある者を殺すだけでは事態の終結にはなりません。真実を見いだすためには、より大きな問題を明るみに出す可能性が秘められた調査が必要になるのです。ああ、そうそう、ダーグーンには自立性の高い軍事指導者がそれなりにいるわけですが、仮にハルークの兵の一部が(許可があるにせよないにせよ)略奪行をしていても、ハルークはこれを彼らのせいにして反逆者の汚名を着せ、スローンホールド条約の他加盟国に「この無法者どもを根絶するため一層の努力をする」と約束することができるようになりますね。このような主張は、常にある程度の懐疑心を持って見るに越したことはないでしょう。上記のような発言は、公式的には非難を受けることになる行為を政治的に糊塗しているに過ぎないのかもしれませんが、それどころか密かに承認を得ていて、あまつさえ積極的に推し進められてすらいるのかもしれないのですから。





著者について

 ショーン・K・レイノルズはカルフォルニア州エンシニタス市に在住しており、最近テレビゲーム会社の職を辞しました。D&Dにおいて、彼は『モンスターマニュアル』『フォーゴトン・レルム・ワールドガイド』『Savage Species』にクレジットされています。本記事についてのキース・ベイカーの助言に感謝。ショーンのウェブサイトにはさらなるゲーム資料が公開されています。




 ゲーム『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』の原作は、E・ゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アーンソンによってデザインされました。その後、原作をもとにして『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』の新版がジョナサン・トゥイート、モンテ・クック、スキップ・ウィリアムズ、リチャード・ベイカー、ピーター・アドキソンによってデザインされました。D&D、ダンジョンズ&ドラゴンズ、フォーゴトン・レルム、エベロンは、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の登録商標です。ウィザーズ社のすべてのキャラクター、キャラクターの名前、肖像画は、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の登録商標です。この資料はアメリカ合衆国の法律によって保護されています。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の許諾書なしでの本資料の製品化や、ここに含まれている資料や図画を無断で使用することは禁止されています。この製品はフィクションです。実在する人物、組織、場所、または出来事と類似していることがあっても、それは純粋な偶然にすぎません。このウィザーズ・オブ・ザ・コーストのゲームにはオープン・ゲームの内容は含まれません。この資料のどの部分も、どのような形であれ許諾書なしに編集してはいけません。オープン・ゲーム・ライセンスとD20システムに関するさらに詳細な情報を得るためには、わたしたちのウェブサイト、www.wizards.com/d20を訪れてください。


(C)2001-2007 Wizards of the Coast, Inc. All rights reserved.

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コメント

訳注:文中の「ゴブリン種」「ゴブリン種族」の原語は「Goblinoid, Goblinoids」ですが、これは日本語公式で「ゴブリン類」と訳されている単語です。「人類」への対応を意図しているのでしょうが、私には違和感が拭えなかったので踏襲しませんでした。
単純な理由によるもので、呼び方として「○○類」という言葉は日本語では一般的ではないでしょう。特に「個体を指して言う単語」としては。訳語選択としては、「白人種」「黄色人種」などの「種」が念頭にあります。あと「○○民族」の「族」も。
あとまあ、これルール的記述じゃないしね。

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laevaと名乗っていましたが、呼ばれる際に恥ずかしいという問題が発覚して以来、にるば(nirva)と名乗ってます。RPG、ボードゲームなどが趣味。
 
 コメントへの返信が大体遅れておりまして失礼しておりますが、おそらく質問等は、twitterの方でしていただいた方が短時間で認知できる確実性が高いかと思います(右カラム参照)。

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