/*http://blog-imgs-86-origin.fc2.com/n/i/r/nirvanaheim/css/91108.css*/

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

種族間の関係、そして偏見 

シリーズ「エベロン・アンダー・ザ・グラス
原文「Race Relations and Prejudice
原著:ショーン・K・レイノルズ
訳文文責:laeva




 ようこそ「エベロン・アンダー・ザ・グラス」へ。本コラムではエベロン世界で遊ぶ際の、D&Dにおける定番的テーマの取り回し方を見ていきます。失われたアーティファクトの探索であろうと、古文書からの知識の発掘であろうと、はたまたゴブリンの蜂起への対処であろうと、エベロンではエベロンなりにいくぶん違った形を取るのです。本シリーズは、エベロンで遊ぶプレイヤーやDMの皆さんが、この世界について「らしさ」の感覚を得るための手助けとなるでしょう。

 さて、エベロンにおける偏見その他の種族問題に目を向けてみましょう。
1.そんな単純なもんじゃない


 標準的キャンペーン世界での、『プレイヤーズハンドブック』に書かれた種族の相互関係はかなり単純なものです。人間がどこともうまくやっており、ドワーフはエルフのことを気まぐれな連中だと思っていて、誰もハーフオークのことは信用していない――などなど。そしてこういった感情がある一方で、典型的D&Dキャンペーン世界には、大都市では全ての種族が特に深刻な軋轢もなく平和共存しているようなかなりの多文化的空気があるのです。これがエベロン世界では、ことはもっと込み入ってきます――主には、「それぞれの種族には多様なグループがいて、人々はあるグループには悪感情を持っているが、他のグループにはそうでもない」といった事情によって。現実世界と同じことですが、エベロンにおける種族差別主義というのは、根っこをたどると各種族の実態よりもむしろ、とかく文化的思い込みに基づいているものなのです。(『エベロン・ワールドガイド』の24ページにあるように、エベロン世界のキャラクターは単なる「人間」や単なる「ドワーフ」ではありません。彼らは例えば「スレイン出身の人間」であり、「ムロールホールド出身のドワーフ」なのです)

 例えば、ハウス・フィアランのエルフ達は何世紀もの長きに渡る芸能史とともに歩んできた古いドラゴンマーク氏族であって、ほとんどの庶民は彼らとその技量とを褒め称えます。一方で彼ら氏族と対照的に、新興国家ヴァラナーのエルフ達は「国盗りの賊党ども」「スローンホールド条約の築き上げた平和に対する脅威」という風に見られています。さて、このヴァラナー・エルフ達の所業は、ハウス・フィアランの同族達に同じ烙印を押すことになるのでしょうか?コーヴェアの人々は、ハウス・フィアランに対しては「あいつらはいい連中だから」と寛容を見せつつも「エルフ全体」への嫌悪感を高めることになるのでしょうか?

 千年近くもコーヴェアのほとんどを支配してきた人間には、国家建設に関しては定評があります。シャーンはまず間違いなく大陸最大の都市でしょうし、シャーン市民も自分たちのことを「大陸で最も文明的である」と考えているでしょう。しかしこれがシャドウ・マーチの人間となりますと、まったく対照的なことに「オークの片割れをやっている文盲不潔な沼地の住民」、という位置づけになります。シャーン出身者は外見において確かにシャドウ・マーチ出身者と寸分違わないかもしれませんが、ブレランド人はマーチの人間を人間以下の何か、と見下すことに心地よさを覚えているのです。また同様に、サイアリ難民達(種族が何であれ)に対しても「誰もが傷を負った最終戦争の中でも『最大級の負け組』だ」として蔑みの目が向けられます。中にはサイアリを襲った災厄について「何だか分からないが、どうせ受けて当然の報いだったんだろう」と言うものもいるのですが、そういう連中は、犯してもいない罪によって難民達に不必要に虐待を加えたりしています。文化――このように生物的な種族差ではなく、文化状況こそが偏見を正当化する根拠と見なされているのです。

 またハーフオーク――何かしら不愉快なことの責をたびたび負わされる彼らですが、その最も多くはドロアーム、エルデン・リーチ、あるいはシャドウ・マーチの生まれになります。これに加えてハウス・タラシュクの属領に生まれるものもいます。このうち、ドロアームのハーフオークは危険なモンスター、シャドウ・マーチの彼らは未開人、という風に捉えられています。リーチのハーフオークに関しては、アンデール国民は彼ら(と、リーチの出の者ならどんな種族でも)を「分離主義者」「国家反逆者ども」と考えています。国外に出ると、そんな風に考えている者は皆無ですが。そしてこれら三国の状況とまったく異なり、ハウス・タラシュクのハーフオーク達(と人間)については、衆目は「有益な資源を見つけることにかけては絶人の腕を持つ、非常に優れた探索者」と見なしています。さて、もう一度言いましょう。実際の生物的差異よりも、文化・国民性の方が重大な要素なわけです。



2.旧来の種族、新たなる種族


 多くの典型的D&Dキャンペーンでは一連の標準種族を使った上で、珍しい種族――リザードフォークとかアアシマールとかそんな連中――も一つは導入しているかもしれません。これに対して、エベロン世界にはデフォルトで4つの新種族が登場します(チェンジリング、カラシュター、シフター、ウォーフォージド)。これら「新たなる」種族はそれぞれ特異的な存在であり、ゲーム中の彼らの振る舞いが「普通の」人々を不安がらせ、極端な形で種族差別を誘発することもありえます。彼ら種族の内の誰であっても、都市部か農村部か、また相手がどんな「旧来」種族かをも問わず、平素的な不寛容な空気に、高い確率で遭遇することになるでしょう。

 チェンジリングは人間とドッペルゲンガーとの合いの子の裔であり、その真の姿を覆い隠す生来の力は即ち、彼らに全面的信頼を与える者などほとんどいないという現実につながっています――自分の顔になって自分の秘密を意に反して悪用してしまうかもしれない相手を、いったいどうして信頼できるでしょうか?彼らの素顔を見た者は誰であれ「こいつは本当に人間でないのだ」と理解してしまい、それ故に「彼らの思惑は信用ならないものだ」という判断をしてしまいます。チェンジリングに裏社会と付き合いを持つ傾向がある、という実態はこの偏見をただ助長するのみなのですが、このことを逆から見ると、チェンジリングがいくらかでも受け入れてもらえる環境を見い出せる唯一の場所が、まさに、「清く正しい」市民が彼らに冷たくなる、その原因の一つである犯罪組織にほかならない――そういうことでもあるのです。

 一方カラシュターは、身体的意味においては人間の感性を惹き付けるかもしれませんが、その異質な精神構造のために敬遠されることとなります。いつもの皆さん操る冒険者達は、この異質さをずっと鷹揚に受け入れるかもしれません。ですが、かたや平均的な農夫や都市住民達は、現代世界の人々が、口舌のうまい政治家や読書づいたエコ主義者が善悪について語りかけてくるのに対して取る態度と同じで、この「見目よく、話の愉快な」カラシュターをよくは受け取りません。カラシュターの嘘偽りなき善性を指向する気質が人々の疑念をいくらか柔らげはするものの、多くの人々は彼らの「夢の領域」との、そしてかの地を支配する恐るべきクオリとの結びつき――無知な人々を恐怖に陥れる事実です――を思い出すのが常でしょう。

 シフター達ですが、ある意味で彼らは新たなる種族の中で最も悪い状況に置かれているとも言えるでしょう。シフターは、チェンジリングのように完全な人間として通すこともできませんし、カラシュターのような美しさも生来の善性も持ってはおらず、ウォーフォージドと違い忠実なる兵士として作られたわけでもありません。彼らはライカンスロープの末裔ですが、多くの人々はライカンスロープのことをモンスターだと思っています(そしてシフターはそれと紙一重の存在でしかない、とも)。粗野で、野蛮で、そして明らかに人外の見た目をしている――シフターは多数の庶民に恐れられており、そして彼らのうちほとんどは己の外面とシフターらしい習性とを忌み嫌っています。特に、シルバー・フレイムの対ライカンスロープ「聖戦」が、重く受け止められている土地にあっては。

 そしてほとんどの人々にとって、ウォーフォージドは最終戦争の記憶を呼び起こす不吉な存在です。平和のためでなく戦うために作られたウォーフォージド種族。一般社会に溶け込もうとする彼らのぎこちない試みは、好意的に受け止められてはいません。この種族で最も名が売れているあのロード・オブ・ブレードが、「ウォーフォージドこそがエベロンを支配すべし」と宣言したことなども状況を悪化させました。この宣言はあらゆるウォーフォージドに「『あの機械野郎のたくらみ』の協力者かもしれない」という烙印を押したのですから。他種族の退役兵士達と異なり、ウォーフォージドが社会に溶け込むことはできません――彼らの身体の繊維一本一本に、最終戦争の臭いがこびりついているのですから。土地によっては人々は彼らを財産と扱っていますし、そうでないほとんどの土地でも、多くの人が彼らを「本物の人間」としてよりもむしろ、「生きている兵器」だと見なしています。あなたのキャンペーンに出る市井の人々は、ウォーフォージドが以後作られることなく(秘密に製造されたら、公にはなりませんからね)、この「種族」がいつか死に絶えるだろうのを喜んでいることでしょう。

 最後に一つ心に留めるべきこととして、上記のようでありつつも、エベロンの人々には長年の戦争によって強固な国家アイデンティティが形成されており、このアイデンティティは彼らの種族認識をも上書きするのだ、ということにも言及しておきましょう。ブレランド人はシフターを野蛮、チェンジリングを信用ならぬ、と考えているかもしれませんが、それでもなお、ブレランド出身のシフターやチェンジリングはヴァラナーや旧サイアリの出身者よりはマシだ、と見なされるのです。種族的偏見よりも愛国主義的偏見の方が多くの場合においてよりありふれ、より妥当視される見方となっているわけです。





著者について

 ショーン・K・レイノルズはカルフォルニア州エンシニタス市に在住しており、最近テレビゲーム会社の職を辞しました。D&Dにおいて、彼は『モンスターマニュアル』『フォーゴトン・レルム・ワールドガイド』『Savage Species』にクレジットされています。本記事についてのキース・ベイカーの助言に感謝。ショーンのウェブサイトにはさらなるゲーム資料が公開されています。




 ゲーム『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』の原作は、E・ゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アーンソンによってデザインされました。その後、原作をもとにして『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』の新版がジョナサン・トゥイート、モンテ・クック、スキップ・ウィリアムズ、リチャード・ベイカー、ピーター・アドキソンによってデザインされました。D&D、ダンジョンズ&ドラゴンズ、フォーゴトン・レルム、エベロンは、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の登録商標です。ウィザーズ社のすべてのキャラクター、キャラクターの名前、肖像画は、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の登録商標です。この資料はアメリカ合衆国の法律によって保護されています。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の許諾書なしでの本資料の製品化や、ここに含まれている資料や図画を無断で使用することは禁止されています。この製品はフィクションです。実在する人物、組織、場所、または出来事と類似していることがあっても、それは純粋な偶然にすぎません。このウィザーズ・オブ・ザ・コーストのゲームにはオープン・ゲームの内容は含まれません。この資料のどの部分も、どのような形であれ許諾書なしに編集してはいけません。オープン・ゲーム・ライセンスとD20システムに関するさらに詳細な情報を得るためには、わたしたちのウェブサイト、www.wizards.com/d20を訪れてください。


(C)2001-2007 Wizards of the Coast, Inc. All rights reserved.

関連記事

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nirvanaheim.blog116.fc2.com/tb.php/20-c8c40df4

プロフィール

laevaと名乗っていましたが、呼ばれる際に恥ずかしいという問題が発覚して以来、にるば(nirva)と名乗ってます。RPG、ボードゲームなどが趣味。
 
 コメントへの返信が大体遅れておりまして失礼しておりますが、おそらく質問等は、twitterの方でしていただいた方が短時間で認知できる確実性が高いかと思います(右カラム参照)。

コメント

トラックバック

RSS

最新記事

リンク

SkypeWeb

スクラップ

Tweets@nirvanaheim

検索フォーム

月別アーカイブ

 

記事カテゴリ

記事タグ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。