/*http://blog-imgs-86-origin.fc2.com/n/i/r/nirvanaheim/css/91108.css*/

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

電子マネーと「キャッシュ」の並立:後編 

 前編より →

 さて、そろそろ「現実における『キャッシュ』としての現金の使用例」を見てみましょうか。一応これで「現実という背景」に情報が増えますし。
或る反米国家の80年代

 リビアという国があります。リビアといえばカダフィ。フセインも落日した最近でこそ丸くなって、親米的な位置を取り始めたカダフィ大佐ですが、昔はエジプトのコピーライター・サダト先生に「リビアの狂人」と名付けられた、西側世界で大変に悪名が高い人物でした。アメリカの主張する「ならず者国家」トップ3の1国。彼率いるリビアは「反米」の旗幟を明確にし、アメリカとの間で多くの衝突が起きたわけです……

 80年代のこと。アメリカはリビアに様々な形で攻撃を仕掛けました。CIAがカダフィ暗殺を計画をしたり(まあこれは、アメリカ政府による「意図的にそのような情報をリークし、広く報道させることでカダフィに精神的負荷を与える」という心理戦だったともされていますが)……艦隊を展開してミサイル基地を破壊したり、首都のトリポリに空爆を行なったり。ちなみに空爆ではカダフィの養女も死亡したとか。


 そしてもちろんのこと、用意周到なアメリカです。軍事的圧力だけでなく、しっかりと金融紛争も仕掛けていたのです。



アメリカ=リビア国際金融紛争

 86年、リビアはテロ組織への支援活動を行なっているとして、リビア資産を凍結する大統領命令がアメリカで出されました。この資産凍結措置は「域外適用」が広範に行われ、国外の支店でも、アメリカの銀行とリビアの銀行間の取引は凍結対象になりました。本国での処罰を恐れて、米銀は国外にあってもリビアの払い戻し請求に応じなくなったのです。

 この払い戻し拒否には、もちろんのこと米国外での法的根拠など、ありません。訴訟はロンドンで起こりました。預金の払い戻しをさせるようにというリビア側の請求は、英国法廷で無事認められることとなります(ちなみにイギリスは、空爆にも反対していた。最終的に空爆用の基地提供には応じたが)。


 そして、この時に問題になったのが「資金の受け渡し方法」なのです。



匿名性のある資金の受け渡し方法

 どういうことか。国際EFTネットワークを利用してリビアの銀行に資金を転送すると、それがアメリカによって逆探知されて米銀の関係者が処罰されたりするのですね。これは別に大口とか陰謀説でもなんでもなく、アメリカはそこまでやる国です。日本も似たようなことをやられたことがありますし(82年のIBM産業スパイ事件とか。ロッキード事件も類に入れていいかな)。

 この事情を考慮し、ロンドン裁判所では「資金移動の匿名性」が必要と認識され、資金の受け渡し方法が議論されました。そして、出された結論はこうです。

「本案件の銀行は、3億USドルを『現金』で支払うこと」

 全て100ドル札で用意しても、なんと300万枚の札束!
紙幣を1枚1グラムとしたら、札束だけでなんと、3トンの重さになります。各国の国際金融界の、この判決へのリアクションは皆、「なんで電子商取引が当然な今時、3億ドルもの『現金』を支払わせるのか。非常識だ」というものでした。


 ロンドン裁判所が注目したのは、そのような役に立たない「現代の常識」などではなく。目前に存在する必要を満たす「現金の匿名性」であり、そして「世界の基軸通貨であるUSドル現金の大半は、アメリカ国外で流通している」という事実だったわけです。非常識どころか、妥当で、かつ十分可能な選択肢 ── ちなみに、これをロンドン裁判所に示唆したのはなんとアメリカはハーバード大学の教授、EFTの法的研究の世界的権威であるスコット教授。この辺は流石アメリカ、というカンジですね。懐が豊かです。



当時の現金への認識

 この話から分かることは、つまり電子マネーに対する現金の匿名性というのは、広く、というわけではありませんが、80年代にはもうすでに認識されていたということですね。正確に言えば、専門家にとっては確たることとなった段階であって、一部で認識され出したという段階、でしょうか。これは……エッジな文学に反映される時期でもある、と言えるかもしれませんね。

 ギブスンの『カウント・ゼロ』が発表されたのは86年の1月~3月のことなので、ニュースかなんかで判決を知ったギブスンが「3億ドルを現金で!?クールだぜ!」とか思って一気にこれを書き上げたー、なんて話は存在しないようです。が、ギブスンがタイムリーな作家であったというのは言えるでしょうね。



匿名性

 あと一つ。通貨形態の電子マネーベースへの移行が囁かれ、実際に実地実験が行なわれたりする昨今ですが……将来的に「大半が国外で流通している基軸通貨USドル」が、現金から「現金に比べ匿名性に薄い電子マネー」に置き換えられたならば。どのようなリスクを我々一般人は負うのでしょうね。これ一度考えてみるべきだと思います。

 個人のプライバシーという観点から見て、「ネットワークから切り離されたスタンドアロンな通貨」というものはかなり重要なファクターなのですよ。だから、『キャッシュ』はなにもアングラなものではなく、一般人が電子マネーと併用するものとして我々の世界に出現すると思います。

 ……や、実はもう既に出現しているんですけどね。こんな人の話聞きませんか?

クレジットカードの明細通知によって買い物の内容が嫁にバレるのを恐れて、現金でのみ趣味の買い物をするサラリーマン。

 やはり現代は近未来か。



そしてRPGへのフィードバック

 さて、主成分がRPG者である私がこんなことを書き連ねたからには、それをRPGにフィードバックしたくなるわけですが。

 もちろんのこと、N◎VAのキャッシュやシャドウランの支払い保証済みクレッド・スティックも、結構普通に一般人が使っているんだろう、って思うんですよやっぱり。ルールブックには書いてませんけれど。まあ「書いてない」言うても、ルールブックに一般人の買い物の仕方なんて普通書いてませんよね。


 RPGというものが大概において日常でなく非日常を扱う以上は(遠藤卓司の次の言葉がよく象徴しているでしょう:「そう、われわれの行なう冒険(セッション)はいつだってそのキャラクターにとっての非日常なのだ」)、こういった日常に近い細かいことは特に意識しなければ扱いづらいことではあるんですが ── たまには省みてみてもいいんじゃないでしょうか?

 つまり、シナリオネタにしよう!という話ですね。

 こういう背景世界の細部的なことを気にし出すと、

「プレイの際こういうことに気をつけよう」
「空気がうまく出るようにプレイしよう」

みたいなことになるのが伝統的流れだったかと思うわけですが(いにしえの中世厨のサーガを謡おう…!)、正直、シナリオ的に重要でないところにそうそう気を向けてもいられないってもんですよね。気をつけなかったらいちゃもんつけてペナルティとか与えるのはただのクソGMですし。


 ならば、シナリオにしよう!という話でした。
 さて、シナリオでも考えるか。



・付録

 「例」で言及しなかった最初のサイパンRPG『サイバーパンク 2.0.2.0.』ですが……イエサブ版を見る限りは、

「現行同様の貨幣がデフォ、ただし『現金を持ち歩かなくて済むようになりますよ』ということでプリペイドカード有り」

という、私と同じ大学の人であれば「それどこのCUTEカード?」と言いたくなるような(あー今は学生証か)モノ。30年後の近未来(作品は91年発売)ということで、日常生活自体は現在(当時)とそう変わらないレベルのものにと考えたのかもしれませんね。
関連記事

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nirvanaheim.blog116.fc2.com/tb.php/112-7ef2f3ae

プロフィール

laevaと名乗っていましたが、呼ばれる際に恥ずかしいという問題が発覚して以来、にるば(nirva)と名乗ってます。RPG、ボードゲームなどが趣味。
 
 コメントへの返信が大体遅れておりまして失礼しておりますが、おそらく質問等は、twitterの方でしていただいた方が短時間で認知できる確実性が高いかと思います(右カラム参照)。

コメント

トラックバック

RSS

最新記事

リンク

SkypeWeb

スクラップ

Tweets@nirvanaheim

検索フォーム

月別アーカイブ

 

記事カテゴリ

記事タグ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。